そんなに新しいわけでもないけど割と新しい製品をご紹介!
Dream’65
マジでとにかく良い。ちなみに今回製品に直接関係ない語りも多めなので長くなります。
ApolloTwinとかで有名なUniversal AudioのペダルラインUAFXでリリースされた当機種。
名前からも分かるようにDeluxeReverbのアンプシミュレートペダルです。
というか名前から分からない人も多いですよね。自分は結構エフェクターとかの機材と触れ合って長いおっさんなので「あ~アレのことね」みたいになりますが初心者や若い子には難しいですよね。ただメーカーがデカい声でこのアンプをシミュレートしました!!ってはなかなか言えないので、そんなときにこのブログが役に立てばと思っています。
そんなことしなくてもYoutube見れば無限に実機との比較動画が出てきますが…。
ちなみにこのUAFXのアンプシミュレーターシリーズは3機種出ており、
Fenderの最初期のTweed DeluxeをシミュレートしたWoodrow ’55 Instrument Amplifier
VoxのAC30をシミュレートしたRuby ’63 Top Boost Amplifier
Fenderの名機Deluxe ReverbをシミュレートしたDream ’65 Reverb Amplifier
とラインナップされています。
Marshall系はまだ無いみたいですね。
またTweedDeluxeは馴染みがない人も多いと思いますが、かなり初期に作られたアンプで今一般的にイメージされるクリーンで扱いやすいFenderサウンドとは異なり荒々しさを併せ持つアンプです。そのあたりは注意が必要ですね。
ちなみに自分は購入前にYoutubeに出ているこの3機種について、特にDream’65についての動画を見まくりました。特に印象的だったものを貼っておきますね。
まずこれは先日シグネーチャーペダルについても書いたTim Pierceが出ている動画なのですが、マジの実機をマジのスタジオに持ち込んでマイク録りしてコントロールルームでヒアリングするというものです。環境もさることながら、何故か終盤でMateus Asatoが出てきてDream’65と実機のDeluxeReverbをブラインドテストさせられてます。もちろん正解する部分もありますが、結構区別がつかなくなっている部分もあります。本人曰く速いフレーズを弾いたときにレスポンス関係で分かる部分があるみたいですが、そもそも一般人はMateusの速さで弾けないしどうでもいいです。ちなみに別の動画からの知識ですが、Dream’65はレイテンシが2msくらいあるみたいです。ちなみにBPM120の16分音符が125ms程度なのでその1/60が感じられれば分かります。
つまりレイテンシは気にしなくていいってことですね。
次はYoutubeでおなじみのAndertons Musicのこの動画です。3機種を順番に弾き比べていて、またアプリから呼び出せるプリセットも色々と試しています。後でも触れますがこのプリセットがめちゃくちゃ良いんですよね。
また、みなさんが気になるであろうIridiumとの比較動画もあります。
一応SIMPLIFIERというもう1機種も一緒に比較されていますが実質IRIDIUMとUAFXの比較みたいになっています。SIMPLIFIERもクリーンはなかなか良いんですが歪ませるとイマイチな感じがしますね。
IRIDIUMはUAFXの3機種のサウンドが1台に収まっているようなペダルですが、1機種ごとの解像度はUAFXの方が高いように感じました。特にDream’65との比較になるRoundモードは、実際のDeluxeReverbよりミッドが強く出ていて、ペダルでブーストしたときのデラリバのようなサウンドに感じました。
もちろん動画だけをすべての判断基準として良いわけではないですが、実際IRIDIUMはミッドが強く出ているという評価が散見されます。
自分はペダルで遊ぶのが好きなので、できるだけレンジが広く、あまりアンプ自体はクセのないものが好みなので今回はDream’65を購入しようということになりました。
めちゃくちゃ前置きが長くなりましたが本題に入っていきます!
まずは筐体。
当然ですがオリジナル筐体で、削り出し筐体が使われています。
サイズは141×92×H65で、Small Cloneとかと近いサイズです。
重量は567gで結構重量はありますが、削り出しなので仕方ないですね。その分安定感や頑丈さを感じます。
フットスイッチはアプリから機能自体を変えることができるのですが、初期状態だと左が現在のセッティングでのON-OFF、右がプリセットの呼び出しです。どちらも点灯中にもう一度踏むことでバイパスでき、片方が点灯しているときにもう片方を踏むことでモードが入れ替わります。
トグルスイッチは左からキャビネット選択(内蔵6種類+OFF)、プリセット登録やトレモロの操作、アンプの種類の切り替えとなっています。
アンプの種類の切り替えって何?って話ですが、オリジナルトーン、リードトーン、SRV MODを切り替えられるようです。ここが結構ややこしいんですが、クリーンなサウンドが好みならとりあえずオリジナルの真ん中ですね。Boostはアンプ前段に入るような効き方をするため自然なアンプのドライブ感を足すこともできます。
リードトーンは少し変わっていて、この状態でBoostを少し上げるとBrightスイッチがオフになったような変化があり甘いトーンへと変わります。
下に倒すとSRV MODなのですが、この状態でBoostを少し上げるとかなり反応がよく、またオーブンレンジなサウンドになります。
この辺りは使ってみないと分からないことも多いと思いますが、真ん中のオリジナルトーンだけでも問題ないです。SRVごっこやりたいな~とか、高級ブティックアンプMOD風のサウンドも試したい場合はSRV MODも良いと思います。リードトーンは個人的によく分からなかったけど。
またキャビネットは最近よくある外部IRの読み込みはできません。内部の6種類からのみ選択可能です。ただこれで十分です。結構各帯域の出方やレンジ感、歪み方が変わるので最初はこのキャビ使えないな~みたいなキャビも設定によってはめちゃくちゃ良く鳴ってくれます。
キャビネットはLEDが赤のときは本体表記の通りなのですが、緑のときは上から
こんな感じらしいです。一番オリジナルライクなのは赤い状態の真ん中Oxfordのようです。自分も最初はこれが好みでしたが迫力ある低音が楽しめる赤色下段EV12や、ブティックアンプ感満載の緑上段のTwoRockキャビも好みです。自分は結構ブティックアンプ好きなのでこれは買ってみて嬉しかったポイントですね。てか正直買うまでSRV MODとかあるのも知らなかったです。
また公式オススメの組み合わせはこんな感じらしいです。
各ノブに付いても簡単に紹介しますが、VolumeがGainの役割です。これは0の状態でも音が出ます。クリーンサウンドの場合は0でもいいですが、低音の量感にも関わってくるので少し上げ目くらいがオススメ。また特にペダルなどで歪みを作る場合は下げ目のほうが良いです。
Reverbはそのままリバーブの効果量です。実機同様のスプリングリバーブをシミュレートしているので上げるとピチョンってなります。ここは地味に好み分かれそうですが、9時位までならそんなに気にならず自然なリバーブ感が得られると思います。もちろん0にするとOFFにできます。
Outputはマスターボリュームです。ここはお好みで。
Bass,TrebleはそのままEQであまり極端な効き方ではなくアンプっぽい効き方です。個人的には扱いやすくて好き。
Boostは先述したアンプモデルによって若干効果が変わりますが基本的にアンプをブーストさせるコントロールです。0でOFFになります。
更にTrebleとBoostは真ん中のトグルをALTにすることでトレモロのコントロールにもなります。というかこれトレモロも付いてるんですよね。絶対ノブが足りてないよ。
で、簡単な説明だけでもこれだけ文字数使っちゃうくらい地味に多機能なんですが、実際使うとかなり直感的に操作できます。特にトレモロは殆どの場合で使わないと思うし…。詳細は製品マニュアルに記載されてるんですが、なんか日本語のオンラインマニュアル見づらいんですよね。英語マニュアルをGoogleChromeとかで日本語訳するのがオススメです。
ここまで読んでめちゃくちゃめんどくさそうに思うかも知れませんが、安心してください。UAFXの公式のプリセットがめちゃくちゃ良いです。プリセットの呼び出しはスマホアプリからできます。BluetoothでDream’65とスマホをペアリングしたり本体を自分のUAアカウントと紐づけたりするのがクソめんどくさいけどそれさえクリアすればアーティストモデルを含む多数のプリセットにアクセスできます。
でも、本体とオフラインのときにプリセット見たりできないのはマジでカスだと思うからどうにかして欲しいし、各プリセットの内部的なセッティングも見れるようにしてほしい。
あとプリセットの音量がやけにデカい。これはリバーブとかもプリセット呼び出した後に本体のコントロールをいじるとそのコントロールだけ変更できるからまだ許容できてる。
と、サウンド自体はめちゃくちゃ満足してるんですがソフト的な部分で不満は無いわけではないです。
ただ、1つ気に入ったプリセットを見つけてそういうアンプとして使う場合はマジで最高だと思います。
自分が一番気に入っているポイントとして、Dream’65の前にエフェクターを繋いだときのサウンドが実機のアンプのようでとても扱いやすいです。これはペダル好きの課題だと思うんですが、いくら良いアンプシミュレーターがあったところでエフェクターが使えないなら意味がないんですよね。
実際ハイゲインな歪みペダルをシミュレータの前に入れると音がヒドく割れてしまったり、抜けが悪くなるようなことは良くあるかと思います。最近は割りと改善されているものもあると思いますが、このDream’65に関しては真空管アンプでペダルを鳴らしているのとほとんど変わらない感覚で弾くことができました。
ちなみにですが自分はJC90のインプット直前にDream’65を繋いでいます。(ライン出力やヘッドホンアンプを使用してのヘッドホン出力も良いですが、やはりそこそこデカい音でスピーカーを鳴らすのが好きなので)
JC90には当然キャビがあるのでキャビシミュOFFにしないの?と思われるかもしれませんが、キャビシミュはONのままです。というのもこのキャビシミュがJC特有の歪ませたときのバリバリ感を無くしてくれるんですよね。逆にJC90はそのまま使うとキャビシミュ入れないでライン出力した時みたいな音がしがちです。クリーンは良いんですけどね。
また、JC90はリターンレベルの切り替えがないのでという理由もあります。
と、ペダル好きには本当にオススメできるDream’65なのですが欠点もあります。まずヘッドフォンアウトがありません。これはこのペダル(執筆時5万円前後)を普通に買う層なら何かしらのインターフェースやミキサーなど持っていると思いますが、手軽に使いたいという人にはマイナス要素だと思います。
また電源が結構シビアです。そもそも電源が別売りなのですが、極性はセンターマイナスで普通のペダルと同じです。公式ページでもしつこいくらいに書かれているのですが電流が400mA以上のものが指定されています。しかしBOSSのアダプター(ちょっと古い緑ランプのやつ)が500mAなのですが動作しません。厳密には電源の立ち上げでうまくいきません。600mAの別の電源を使用すると電源が入ったので400mA以上の電源でも注意が必要かもしれません。
あとはさっきも書きましたがアプリがイマイチです。プリセットの読み込みなんかは結構早くていい感じなんですが、プリセットの管理をオフラインでできるようにしてほしかったり、プリセットを参考に音作りするためにプリセット自体のセッティングを参照させて欲しいですね。
あと公式の説明で4ケーブルメソッドに対する部分が長すぎるのも謎です。自分はそんなに使わないと思うので試してません。
また欠点ではないですが電源をずっと入れていると本体がそれなりに暖かくなります。熱いってほどではないですが。以前ApolloTwin持っていたときに爆熱になっていたのでUAは機材で暖を取る気なんですかね?
すでに5000文字を超えたのでそろそろ畳みたいと思いますが、Fenderアンプでエフェクター鳴らすのが大好き!っていう人にはとにかくオススメできます。また、各種アナログプリアンプペダルとの相性もよく、Marshall系のプリアンプペダルを前に繋ぐことでしっかりMarshallのサウンドにもなってくれます。このあたりの受け入れ態勢の広さはデラリバシミュレートの恩恵かと思います。おそらくUAFXの他2機種は比較的個性が強いアンプのシミュレートなので扱いが変わってきそうです。
もちろんDream’65自体のサウンドも最高でずっと弾いていられます。
あと箱が可愛い。最近は大手メーカーも外装を簡素化してる傾向がありますが、オーディオメーカーならではの高級感に仕上げてきていて良いですね。
急に天啓を受けたように買ったペダルでしたが期待以上のサウンドで、ここ数年で一番満足感のある買い物でした!
Dream’65みなさんもぜひ試してみてくださいね~可能であれば歪みペダルも一緒に!
それではまた~
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